株主の皆様へ
日清食品有限公司(以下「当社」)董事会(以下「董事会」)を代表し、当社および子会社(以下「グループ」)の 2025年度の年次報告書をお届けいたします。
創業者 安藤百福氏の「食為聖職(食の仕事は聖職である)」という理念を基に、当社グループは「安全で信頼できる食」を提供することに取り組んでまいりました。食品需要は、経済環境の変化にかかわらず成長基調にあります。当社グループはこの長期的なトレンドに沿 って成長を実現してまいりました。
2025年度は、香港および中国本土の経済が外需に支えられて推移した一方、内需の回復は緩やかにとどまり、消費行動はより選別的な状況となっています。このような環境下、当社グループは、オペレーション効率の向上とコスト管理の徹底により、収益構造の改善を進めてまいりました。さらに、中長期的な成長に向けて「商品力の強化」および「サプライチェーン・マネジメント(SCM)の高度化」を推進し、事業基盤の強化を着実に進めております。これらの取り組みの成果が2025年度の連結業績にも反映されました。
2025年度の売上収益は、即席めんの販売数量の増加に加え、新たに買収した事業の貢献により、前年比5.0%増の 4,001.1百万香港ドルとなりました。売上総利益も前年比 5.6%増の 1,385.1百万香港ドルとなり、売上総利益率は34.6%と、前年比 0.2%ポイントの改善になりました。
営業利益は、前年比 8.1%増の 451.0百万香港ドルとなり、営業利益率は 0.4%ポイント増加し 11.3%となりました。ま
た、当社株主に帰属する利益は、前期に計上した減損損失が当期にはなく、前年比 64.9%増の 331.4百万香港ドルとなり、利益率は 3.0%ポイント改善して 8.3%になりました。この結果、1株当たり利益(”EPS”)は前年比64.9%増の31.76香港セントとなりました。売上拡大に加え、前期の一過性要因が解消されたことにより、粗利益、営業利益、最終利益段階のすべてのマージンが改善し収益性が底上げされました。
当社グループは、安定的かつ持続的な株主還元を重要な配当方針と位置付けています。当期配当は、1株当たり 15.88香港セント(2024年度:15.82香港セント)で配当性向は 50.0%とする予定です。今後も当社グループは、安定したキャッシュ創出力を基盤としながら、成長投資と株主還元の適切なバランスを維持してまいります。
業績の改善および株主還元と並行して、当社グループは、中長期的な成長基盤の強化を目的とした段階的な設備投資を継続しています。2025年度には、将来の生産能力強化を見据えた戦略的投資として、中国・珠海市金湾区において、工業用地を総額 30.68百万人民元で取得しました。
当該用地では、2029年の竣工を目標に新工場の建設を計画しており、現在、生産ラインの構成や生産計画を含む設備投資計画について、段階的な実施を前提とした検討を進めています。過去の工場建設および立ち上げ・運営を通じて培 った知見を活かし、生産ラインの高速化・自動化・省人化を推進してまいります。あわせて、中国の IT力を活かすとともに、日本の品質管理の知見を取り入れながら、生産コストの低減と全社レベルでの生産効率向上を図ります。さらに、近隣に立地する珠海日清包装との連携を強化し、調達から生産・包装までを見通したサプライチェーン全体の効率向上を目指して
まいります。
当社グループは、食の安全と安心を経営の中心に据え、食品安全および品質管理を最優先事項としています。すべての食品の生産拠点において ISO22000、FSSC22000、HACCP などの食品安全マネジメントの国際認証を取得するとともに、日清食品 HD グループの上海安全研究所と連携した定期的な品質監査およびサプライヤー監査を実施しています。主要原材料については、複数サプライヤーによる調達体制を構築し、適切な在庫管理や長期契約を通じて、サプライチェーンリスクの低減に努めています。
また、自然災害や感染症の流行といった事業継続リスクに備え、複数の拠点・地域分散型の生産体制を活かし、安定供給体制の維持を図 っています。
食品安全および品質管理を日常業務の中で確実に実践するためには、制度や仕組みの整備に加え、それを担う人材の育成が不可欠です。食品安全は、最終的には現場の従業員一人ひとりの判断と行動によって支えられるものであり、当社グループでは、ITを用いた継続的な教育を通じて、その考え方を組織全体に浸透させています。理念や行動規範に関するオンライン学習に加え、ISO22000、FSSC22000、HACCPなどの国際基準に準拠した食品安全研修を体系的に実施しています。
さらに、衛生管理責任者や管理職、全従業員を対象に、衛生管理プログラムや内部監査員研修や外部機関による内部監査を年間計画に基づき継続的に実施し、現場対応力と判断力の向上を図 っています。
2026年度に向けて、当社グループは外部環境の不確実性を注視しつつも、長期的な成長見通しについては引き続き前向きに捉えています。コスト管理やオペレーション効率の向上に引き続き取り組みながら、重点テーマである「商品力の強化」と「サプライチェーン・マネジメントの高度化」を進め、各市場における持続的な成長の実現を目指します。
中国本土では、生誕 55周年を迎える「カップヌードル(合味道)」や「出前一丁」をはじめとする主力ブランドの高付加価値商品を成長の軸とし、加えて縦型カップうどんの「日清どん兵衛」などの新商品を通じて商品ポートフォリオの拡充を図ります。これにより、既存エリアでの販売強化や新たな販売チャネルの開拓を進めてまいります。
香港においては、「出前一丁」に加え、プレミアム版である「北海道一丁」や日本版「カップヌードル」などの販売拡大に取り組むとともに、カップめんおよび袋めんの輸出を含めた売上拡大を図り、あわせて冷凍食品事業の回復に注力します。
その他地域市場においても、それぞれの市場特性を踏まえ、即席めんをはじめとした主力商品の販売拡大と市場基盤の強
化を進めます。
香港に本社を置き、香港、中国本土およびその他地域市場で事業を展開する食品メーカーとして、当社グループは地域社会や人 々の暮らしを支える責任を担 っています。董事長兼 CEOとして、短期的な変動に左右されることなく、重点テーマである商品力の強化と、効率性に重点を置いたサプライチェーン基盤の構築に取り組んでまいります。社会にとって不可欠な食を今後も安定的に提供し、株主・投資家を含むすべてのステークホルダーに対し、長期的な価値をお届けしていく所存です。
創業者 安藤百福氏の「食創為世(食を通じて社会に貢献する)」という理念を基に、美味しく、安全で、消費者の皆様の手に取りやすい食品を通じて、人 々の暮らしをより豊かにしてまいります。
安藤清隆
董事長